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料理教室「あきた地魚クラブ」 −魚を料理し、学び、美味しく食べよう−

第3回 マダラ



 NPO法人秋田水生生物保全協会主催「あきた地魚クラブ」の第3回が、1月20日(火)に開催されました。

 マダラの旬は1〜3月、厳冬期の「雪の魚」、「鱈」だ。産卵期は2〜3月、その時期になると産卵のため秋田県沿岸の水深100m前後に集まってくる。それに合わせて、漁業者は底びき網、さし網、定置網などで漁獲する。この時期が旬で、「タラ腹食べる」時期だ。
 本日は15名全員が参加。最初に、マダラの姿を見ながら、背鰭3枚、臀鰭2枚、1本の長いヒゲなど特徴の説明(写真1)。また、実際に腹を開いて、肝臓、腎臓、心臓、胃袋などに説明。
今回使用するのは1m前後の雌3尾、雄2尾で、これを3枚にしたり、頭や骨を切ったりするのに料理屋「かわせみ」の店長古屋さんに御願いした。参加者は店長の流れるような包丁に、驚き、喜んでいた(写真2)。
 そして調理の説明と実習は、いつもと同様「戸賀の母さん」。

1 つくり方と味

@タラの味噌漬け:写真3
 本来は前日から味噌に漬けておくものだが、今回は特大の切り身を1時間半程度漬けてから焼いた。 雪のように真っ白なタラの身を堪能した。

Aタラ鍋:写真4〜6
 頭や中骨、内臓、何でも入れるので、「じゃっぱ汁」、「ざっぱ汁」と呼んでいる。
 味噌汁にするのが多いが、今回は粕(かす)を使用。やわらかな味に驚いていた。

Bタラの子のいりあえ:写真7〜9
 大きな卵の塊を熱湯に入れ、箸をゆっくり回すと、黒い膜が簡単に除くことが出来る。
 そこでタラの子がバラバラになってから、湯を完全に切る。あらかじめ切った人参やゴボウは軽く
 炒めておき、そこに、タラの子を入れる。「タラの子のいり煮」と呼ぶ人も多い。つくり方のコツ
 に参加者は驚き、食べたときにはクセの無い美味しさに、再度、驚いていた。

C昆布しめと卵の醤油漬け:写真10、写真11
 昆布しめに使う身の皮のひき方は、包丁3割、皮を動かしながら引くのが7割だ。
 卵の醤油付けは、生の卵の塊を手で搾り、生の卵を醤油漬けに生姜のスライスと昆布を入れておく
 ことなどを行ったが、実際に食べたものは、味がしみておくように前日に作って置いたものだ。


2 試食会と感想(写真12、写真13)
 これだけは、参加者の方が自ら作り、自分の味で感じる以外にない。アンケートでは、昆布しめと卵の醤油漬けは酒に合うとの声が圧倒的。タラの子のつくり方は初めての方が多くて、逆に驚いた。


3 講義(写真14、写真15)
 「その魚をつくって、食べ、勉強する」、はじめてその魚の美味しさがわかるのです。
 今回はマダラです。
 @秋田県での漁獲量は、ハタハタに次いで第2位です。
 A漁獲は1〜3月、それが産卵期で、沿岸の産卵場に集まるからです。
 B卵の名前は、スケトウダラは「たらこ」、マダラは「たらのこ」です。スケトウダラは、かまぼ
  こなどの「すり身」に利用され、たらこは辛子明太子としてています。
 C昔はマダラと言えば、卵巣である「たらのこ」と身の味噌漬けや鍋だったのですが、近年、精巣
  である「だだみ」ばかりで、身や卵の美味しさを知らない方増えています。


 今日の料理講習会で、マダラの素晴らしさによく分かっていただけたと思います。

写真1 今日のマダラ 写真2 マダラの切り方
写真3 タラの味噌漬けの準備 写真4 適当に切ったタラ汁
写真5 鍋には胃袋も忘れないように 写真6 鍋に粕を入れ味をととのえる
写真7 卵を入れ驚きの瞬間 写真8  タラの子の黒い膜も使う
写真9 タラの卵を混ぜる 写真10 昆布しめは、翌日にはできる
写真11 醤油漬けは1日でできあがり 写真12 タラのフルコース。これで一人前
写真13 全員で「いただきます!」 写真14 講義も全員まじめにやっている
写真15 講義の中身も濃いです