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料理教室「あきた地魚クラブ」 −魚を料理し、学び、美味しく食べよう−

第1回 サケ



 NPO法人秋田水生生物保全協会(2012年7月)では、平成24年4月に事務所を秋田市公設地方卸売市場の2階に置き、ホームページhttp://www.geocities.jp/ataqc_0502を開き、「地魚・旬の魚検定試験」や「八郎湖のワカサギをつくる会」などさまざまな事業を行ってきました。そして今年の10月から「あきた地魚クラブ」を行うこととしました。
 趣旨は、「秋田には、季節ごとに新鮮で美味しい魚が数多くありますが、その素晴らしさを知っている方々は多くはありません。また、魚を食べるのは好きだが、下ろし方や調理に手間がかかるため、魚を料理する機会も少なくなっているようです。このことから、秋田の水産振興を目的として、熟達者による魚の下ろし方や、漁協婦人部による簡単な料理を紹介し、秋田の魚をたくさん食べてもらおう」というものです。
 場所は市場内の料理教室で、秋田市民を中心に15人程度を公募し、卸売市場関係会社、秋田県漁協戸賀支所婦人部(「戸賀浜のかあさん」)、市場関係者などから協力してもらうことになりました。今後月に1回開催し、対象魚は順に、サケ、ハタハタ、マダラ、アブラツノザメ、ホッケの予定です。
 レストランや割烹でシェフや料理人が作るものではなく、普通に買える地元の魚を使って、家庭で簡単にできる料理がこんなに美味しく、安価だと知ってもらいたいと思います。

 第1回目はサケで10月14日(火)に行いました。メニューは、チャンチャン焼き、あら煮つけ、イクラ醤油漬け、ザッパ汁。それらを2時間でつくり、そのままメンバーで昼食となりました。簡単な料理で、ボリュームのある美味しい食事ができ、改めて、サケの力を知ることができました。そして、時間、技術、味、値段など、すべてにおいてサケのコスト・パフォーマンスを再認識しました(要するに、サケの料理は簡単で、うまくて安いということです)。
 最後に、協会の代表がサケの特徴や漁業の現状を説明しました。漁業者や市場関係者はサケの状態によりさまざまな呼び方をします。外観が銀色のものは「ギン」と呼ばれ、肉は真っ赤で脂がのっています。以下、体表の色が赤色や黒色になるに従い、順に、「Aぶな」、「Bぶな」、「Cぶな」となり、最後は川に遡上し、体表は真っ黒で肉は白色になり「ほっちゃれ」となります。体表の色は、卵巣(筋子、いくら)や精巣(しらこ)が成熟していくと肉の色素が体表に移動して濃くなり、それにともなって肉の真っ赤な色は徐々に薄くなっていくのです。
 最近は誰もが、肉が濃い赤色で脂がのった「ギン」の方ばかりを食べるようになり、白くなった肉は極端に安くなるようになりました。しかし、以前は知恵があり、さまざまな食べ方がありました。川に上がったものは脂が少ないので「塩引き」にするとよい、その方がさっぱりとして油焼けすることがないといったり、川に遡上し肉が白くなったものに麹を入れ「紅葉漬け」にしたり、正月は頭の吻の軟骨を使った「氷頭」をつくったりと、多様な利用法があったのです。

 実際の雰囲気は、写真を見ていただければと思います。最後に行ったアンケート(下記)では、料理が簡単に美味しくできることを知った、漁業の実態を知ったなどの意見がありました。
協会では、これからも「美味しく食べるためには勉強すること。勉強してはじめて美味しくなる」、「漁業者がいるから魚を食べることができる」との考えで、さまざまなことを行いたいと思っています。

・旬の魚の調理方法が学べるのでよかった。
・脂ビレ(あぶらびれ)を知りました。
・短時間で、いろいろな料理を知ることが出来、勉強になりました。
・魚のことをもっと知りたい。
・イクラの処理の仕方を憶えた(筋子をイクラにする方法)
・イクラが意外と簡単にできることがわかりました。
・今後、魚の保存食、珍味の調理実習をしてほしい。
・漁師の苦労話を聞かせていただきたい。

写真1 市場内の教室(フレッシュ交流館)の風景 写真2 「戸賀浜のかあさん」(赤いエプロン)による説明
写真3 メンバーによる筋子のイクラづくり 写真4 昼食風景
写真5 その日の料理(一部) 写真6 昼食後の講義